「ステークホルダーマップって何?」
「ステークホルダーマップはどのように作成したらいいの?」
「そもそもステークホルダーマップを作る必要はある?」
ひとつのプロダクトやサービスを立ち上げて運用するには、利用者や開発チーム、出資者などさまざまな立場の人が関係します。
プロジェクトを円滑に進めるうえで、特定の関係先が損を被ったり利益を独り占めしたりする状況が生じることは許されません。
そのため、プロジェクトにかかわる全ての人がどのように関係しているのかを全体的に把握しておく必要があるのです。
そこで本記事では、以下のテーマについて詳しく解説します。
- ステークホルダーマップとは
- マップの作り方
- マップの構成例
- マップ作成する際に便利なツール
プロジェクトの関係者を視覚的にまとめるためのポイントを詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
なお、Flowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。お困りごとがある方はぜひお気軽にご相談ください。
目次
ステークホルダーマップの概要を解説
まず、ステークホルダーマップの概要について解説します。
ステークホルダーマップとは
ステークホルダーとは、商品やサービスを設計・開発する際やプロジェクトを進行する際に影響を与える可能性があるすべての関係者のことを指します。
プロダクト開発やプロジェクトに関わる人の関係を視覚的にまとめたものがステークホルダーマップです。
たとえば、以下のような利害関係者がステークホルダーとして挙げられるでしょう。
- 利用者
- 従業員
- 社内アドバイザー
- 開発チーム
- サプライヤー
- 株主
このように、ステークホルダーにはさまざまな立場の利害関係者が存在します。
ステークホルダーマップを作成し利害関係者を整理すれば、プロジェクトの進行に関わる人の関心やニーズ、懸念事項をあらかじめ可視化できるでしょう。
ステークホルダーマップは利害関係者の利害関係や影響力を把握できるため、トラブルなくプロジェクトを運営するのに役立つツールと言えます。
ステークホルダーマップを作る目的
ステークホルダーマップを作成することは、プロジェクトを円滑に進めたり、ユーザーにとって満足度の高いサービスを開発したりする際に大きな役割を果たします。
現実的な場面においては、以下のような目的を達成するためにステークホルダーマップを作るケースがよくあるでしょう。
- ターゲットとなる顧客層を定義する
- 新規事業領域を探索する
- 関係者との連携の図り方を検討する
- プロジェクトを進めるうえで予測されるリスク要因を把握する など
なお、中心に据える主人公によってステークホルダーマップの切り口は変わります。たとえば、サービスの利用者と開発者のうちどちらをマップの中心に据えるのかによって、ステークホルダーマップの見え方は異なります。
つまり、ステークホルダーマップを作成する目的に合わせて、誰を主人公にするのかを適切に選ぶ必要があるのです。
ステークホルダーマップの作り方
新しいプロダクトを開発したりプロジェクトを進行したりするうえで、意味のあるステークホルダーマップを作成するには、順序立てて情報を整理しなくてはいけません。
ここでは、ステークホルダーマップの作り方を3つのステップに分けて紹介します。
- ステークホルダーの候補を特定する
- 要素ごとに優先順位を付ける
- ステークホルダーの関係性を図式化する
ひとつずつ見ていきましょう。
1. ステークホルダーの候補を特定する
ステークホルダーマップを作る際にはじめに取り組むべきことは、サービスの開発やプロジェクトに関わるあらゆる個人や団体をピックアップすることです。
ユーザーやチームのメンバー、株主、サプライヤーなど、複数の関係者が挙げられるので、多角的な視点で検討しましょう。
とくに、以下のような視点で利害関係者をピックアップすることをおすすめします。
- プロジェクトに最も影響を与える人、または受ける人は誰か
- 資金や利益に関心があるのは誰か
- プロジェクトを進めるうえで直接的に関与していないものの、重要な人物は誰か
網羅的にステークホルダーを特定すれば、プロジェクトを円滑に進めるための効果的なアイデアの創出や課題発見につながるでしょう。
2. 要素ごとに優先順位を付ける
重要なステークホルダーを洗い出せたら、優先順位を付けていきます。順位を付けるための判断基準としては、以下のステークホルダーを4つのセクションに分類すると良いでしょう。
プロジェクトに対する影響力と関心度の2軸でステークホルダーを分類すると、各グループに所属する関係者との関わり方が見えてきます。
たとえば、影響力・関心度がともに高い関係者に対しては、情報を事細かに提供したり、寄せられた意見に耳を傾けたりするなどして、綿密にコミュニケーションを取る必要があります。
また、影響力が低く関心度が高いグループに対しては、定期的に情報を共有し関心度を下げさせないようにするべきでしょう。
このようにグループごとに関わり方を決めれば、関係性がこじれたり、優先度が低い関係者に大きなリソースを割いてしまったりすることを防げます。
優先順位付けて関わり方を見直せば、トラブルを未然に防ぐだけでなく組織の人的リソースを有効活用できるでしょう。
3. ステークホルダーの関係性を図式化する
最後に、各ステークホルダーの相互関係を図式化し、影響力や利害関係をまとめます。
組織の内部ステークホルダー(経営陣、従業員など)と外部ステークホルダー(顧客、サプライヤー、地域社会など)を区別すると、見やすいステークホルダーマップを作成できます。
ステークホルダー間の依存関係や対立、協力関係などを線や矢印で結べば、それぞれの関係性が直感的に掴みやすくなるでしょう。
なお、実際にプロジェクトが開始する前にステークホルダーマップを作成し、関係性を視覚化することをおすすめします。
ステークホルダーに見落としがあると、急な関係の打ち切りや方針変更など、想定外の事態が起こるリスクが高まるからです。
あらかじめステークホルダーマップを作成しておくと、関係者に起因する事柄であればある程度予測できるため、体感的に予想外のことは起こりにくくなるでしょう。
ステークホルダーマップの構成例
次に、ステークホルダーマップの構成において、代表的な例を2つ紹介します。
- 顧客を中心とした構成
- プロジェクトを主軸においた構成
ステークホルダーマップを作成する際に、参考にしてみてください。
1. 顧客を中心とした構成
顧客を中心に置いたステークホルダーマップでは、顧客の多様なニーズや課題を把握し、顧客経験の向上につなげられます。
プロジェクトを顧客中心に考えることで、顧客の満足度を高めるために各ステークホルダーとどのように関わったら良いかを検討できるようになるでしょう。
顧客を中心としたステークホルダーマップを作成する場合、中心から外に向けて3階層に分けられます。
顧客中心のマップを作成することで、顧客満足度の向上や新たなビジネスチャンスの発見につながるでしょう。
2. プロジェクトを主軸においた構成
プロジェクトを軸にステークホルダーを整理すると、社内と社外のステークホルダーを包括的に捉えられます。
製品やサービスを顧客に提供するなかで、各グループ間の関係性や価値の流れを明確にできるのがプロジェクトを主軸に置いたステークホルダーマップの特徴です。
マップに書き込むべき価値の流れは、資金的な視点にとどまらず、成果物や人的リソースなども挙げられます。
事業構造を軸にしたマップを作れば「無駄な業務が発生していないか」「人的リソースを有効活用するにはどこを改善するべきか」などが見えてくるでしょう。
プロジェクトを効率的かつ円滑に進めるためにどうすべきかを分析する際に、プロジェクトを主軸にしたステークホルダーマップが活用できます。
ステークホルダーマップ作成ツール
ここでは、ステークホルダーマップを作成する際に使えるツールを3つ紹介します。
- Figjam
- miro
- Strap
ステークホルダーマップの作成に限らず、業務を効率的に進められるホワイトボードツールを厳選したので、ぜひ活用してみてください。
1. Figjam
特徴 | デザインツールのFigmaと連携できる コミュニケーション機能が充実している FigJam AIによるテンプレート生成が可能 |
料金 | スターター:無料 プロフェッショナル:450円/1シートあたり月額 ビジネス:750円/1シートあたり月額 エンタープライズ:750円/1シートあたり月額 |
公式サイト | https://www.figma.com/figjam/ |
Figjamは、デザインツールのFigmaを開発した会社が提供するオンラインホワイトボードツールです。操作性に優れており、コメントや付箋を使ったコミュニケーション機能が充実しています。
Figmaとのデータ連携が容易なのはもちろん、プロジェクト管理ソフトウェアのJiraやAsanaとも互換性があります。
しかも、無料で使えるスタータープランがあるので、気軽に利用できるのも魅力的なポイントです。
Figjamは、デザイナーやクリエイターなど視覚的表現を重視したい人や、チームで共同作業したい人に向いているツールと言えるでしょう。
2. miro
特徴 | 世界的人気の老舗ツール 豊富なテンプレート AIによるマインドマップ作成など |
料金 | Free:無料 Starter:$8/月 Business:16$/月 Enterprise:要相談 |
公式サイト | https://miro.com/ |
miroは、世界的に利用されている老舗ツールです。豊富なテンプレートが魅力のツールでAIによる機能拡張にも注力しています。
無料プランがあるのはもちろん、有料プランでも月額$8(約1,200円)であるため、機能の割にはリーズナブルなツールです。
JIRAやAsana、SlackやZoomなど幅広いサービスと連携できるので、他ツールと連携して使いたい方やAIを活用して効率的な作業をしたい方に向いています。
3. Strap
特徴 | 国内シェアNo.1の日本製ツール UIデザイン性に優れている セキュリティ対策が万全 |
料金 | 無料トライアル:14日間 通常プラン:1,000円/月 プロフェッショナル:要問合せ |
公式サイト | https://strap.app/ |
Strapは、国内No.1のシェアを持つ日本製オンラインホワイトボードツール。UIデザインに優れ、直感的な操作性が高く、セキュリティレベルが高いのが特徴です。
また、テンプレートが豊富でPowerPointへの書き出しが可能であることに加え、AIによるマインドマップ作成機能も利用できます。
Strapは、セキュリティの高さやUIの分かりやすさを重視する人におすすめのツールです。
ただし無料プランはないため、日常的に利用する際は月額1,000円の通常プランに加入する必要がある点だけ注意が必要です。
ステークホルダーマップを活用してプロジェクトを円滑に進めよう!
新しいプロダクトを開発する際は、さまざまな立場の人が関係します。
そのため、ステークホルダーマップを用いて、関係者のつながりを視覚化しておくことは、プロジェクトを円滑に進めるうえで重要な役割を果たすでしょう。
本記事の内容を参考に、ステークホルダーマップをビジネス現場で活用してみてください!
なお、Flowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。UXデザインを自社サービスでも活かしたい方は、ぜひFlowzにご相談ください!