「そもそも課題解決型って何?」
「デザインに課題解決型の考え方をどうやって反映させるの?」
課題解決型は、ユーザーが意識している顕在的な課題に対してアプローチする手法です。つまり、商品やサービスを開発する現場で用いられる考え方の一つと言えるでしょう。
本記事ではデザイン・エンジニアリング両面からサービスの設計・開発を行っているFlowzが以下の内容について詳しく解説します。
- 課題解決型の考え方について
- 課題解決型をデザインに取り入れるメリット
- 課題解決型に活用できるフレームワーク
この記事を読めば、課題解決型の考え方を商品開発の現場でどのように活用するのかについて分かるので、ぜひ最後までお読みください。
なお、Flowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。お困りごとがある方はぜひお気軽にご相談ください!
目次
課題解決型とは?
課題解決型とは、顕在化している課題を解決することを目的にしたアプローチ方法のことです。
分かりやすい例として、ワイヤレスイヤホンが挙げられます。ワイヤレスイヤホンは「音楽を聞くときにイヤホンのコードが邪魔」という課題に対し「コードがないイヤホンをつくる」ことで解決した典型的な例です。
このように課題解決型のアプローチは、ユーザーのニーズに沿って製品やサービスを作り上げる考え方です。
ただし、多くのユーザーが認知している表面的なニーズを追いかけると、競合他社も同じ課題を解決するために商品開発に乗り出す可能性が高くなるでしょう。つまり、競争が激しくなる傾向にあります。
ユーザーニーズは顕在的な部分だけに焦点をあてるのではなく、より本質的な価値は何かを分析したほうが、他社が思いつかない画期的な商品を生み出せるでしょう。
課題解決型のアプローチではニーズの深堀りが必要
課題解決型のアプローチを実現するには、ユーザーがどのようなニーズを抱えているのかを、深く分析する必要があります。ここでは、課題解決型アプローチの取り組み方や事例について見ていきましょう。
ユーザーが求めている根源的な価値は表に出てこない
課題解決型アプローチにおいて、顧客が求めている本質的なニーズを深掘りする姿勢は重要です。なぜなら、ユーザーが抱えている課題は、顧客自身がはっきりと自覚しているとは限らないからです。
そのため、製品やサービスの方向性を決める際は顧客が求めている根源的な価値は何かを明らかにする必要があります。
なお、顧客自身も気が付いてない価値にアプローチする製品やサービスを提供できれば、競合がいないブルーオーシャンで戦えるでしょう。
iRobotのルンバの事例
課題解決型アプローチで開発された商品の最たる例が、iRobotのルンバです。
iRobotの競合となる他の掃除機メーカーは、掃除を楽に済ませられるよう掃除機の軽量化をしたり、ゴミの取り残しがないように吸引力の強さや持続力を高めたりすることに躍起になっていました。
そんな中、iRobotは「そもそも人が操作しなくてもいい掃除機」にニーズがあることに注目し、ユーザーの本質的な価値である「掃除という家事からの解放」にアプローチしたのです。
その結果、人が操作をしなくても自動で掃除をしてくれる掃除機「ルンバ」の開発に成功。ルンバが売り出されると、世界で4,000万台を突破する大ヒット商品になりました。
iRobotのルンバはこれまでの競争にとらわれず、ユーザーの根源的な価値にアプローチした典型的な商品と言えるでしょう。
課題解決型アプローチをデザインに取り入れるメリット
課題解決型のアプローチを商品のデザインに取り入れるとどのような「良いこと」があるのでしょうか?ここでは、課題解決型アプローチの利点について、2つ紹介します。
- 顧客との信頼関係を構築できる
- 長期的な利益につながる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 顧客との信頼関係を構築できる
課題解決型の考え方で商品やサービスを開発すると、クライアントとの信頼関係を築きやすくなります。
なぜなら、課題解決型のアプローチで製品やサービスの方向性を先方とすり合わせれば、クライアントが期待する以上の成果物を提供できる可能性があるからです。
クライアント自身が気が付いていないニーズを発見して提案できれば、信頼度は向上するでしょう。
そのため、クライアントからの要望に答えるだけでなく、より本質的なニーズにアプローチするような解決策を提案する姿勢が大切です。
2. 長期的な利益につながる
そして、信頼関係が構築できれば、ひとつのクライアントから依頼される仕事量が増える可能性が高いため、長期的な利益につなげられるでしょう。
反対に、顧客から求められたことだけを提供する姿勢でいると、契約が競合他社に流れてしまう恐れがあります。
自社の競争力を高めるためにも、課題解決型の考え方を取り入れてクライアントと長期的な関係を築いていきましょう。
課題解決型のアプローチで求められる2つのスキル
次に、課題解決型アプローチで求められるスキルについて解説します。
- ヒアリングスキル
- 課題を見いだす能力
1. ヒアリングスキル
課題解決型のアプローチを実現するうえで、顧客の課題を見つけるためのヒアリングスキルは欠かせません。
顧客が抱えている顕在的なニーズを形式的に聞き出すだけでは、不十分です。顧客の背景や状況を元に、潜在的なニーズは何なのかを顧客と一緒に見つけていく必要があるでしょう。
そのためには、相手の情報を収集し、得られた情報を基にクライアントの本質的なニーズを引き出すためのコミュニケーションスキルが求められます。
2. 課題を見いだす能力
ヒアリング結果をもとに、潜在的な課題を発見するスキルも大切です。顧客が置かれている状況や提供しているサービスを理解したうえで「理想的な状態とは何か?」を深堀りして考える必要があります。
そうすると、クライアント自身も気が付いていない「見えていない課題」を見つけられるでしょう。
iRobotのルンバを例に挙げると「見えている課題」と「見えていない課題」は、以下の通りです。
見えている課題 | 掃除機の重さや吸引力に改善の余地がある |
見えていない課題 | 手動で掃除をするという仕事から人が解放されていない |
つまり、クライアントも気が付いていない課題に気付いて提案する力が、課題解決型のアプローチをする際に求められます。
課題解決に活用できるフレームワーク
最後に、課題解決型の考え方を実践する際に活用できるフレームワークを4つ紹介します。
- 3C分析
- SWOT分析
- VRIO分析
- ロジックツリー
思考を整理したり新たな着眼点を発見したりする際に使えるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 3C分析
3C分析とは、顧客・自社・競合の3要素に分けて状況を分析するフレームワークです。
具体的には、以下のような内容を分析します。
顧客 | 業界の市場規模 |
競合 | 競合他社のシェア |
自社 | 自社の理念 |
3C分析を行う際は、意見や解釈が混ざらないようにすることです。内容に意見や解釈が混ざると正しい分析ができなくなるので、事実ベースで考えるようにしましょう。
3C分析は、会社を取り巻く環境を再確認する際に便利なフレームワークと言えます。
2. SWOT分析
SWOT分析は、強み・弱み・機会・脅威の4要素に分けて分析するフレームワーク。事業計画を作る際や、新規事業を立ち上げる際に使われます。
内部環境と外部環境のプラス面とマイナス面を分類し、現状の立ち位置を洗い出すのがSWOT分析の特徴です。
内部環境 | 強み | 自社や自社製品が他社より勝っている部分 |
弱み | 自社や自社製品が他社に追い抜かされている部分 | |
外部環境 | 機会 | 市場や社会変化において、自社や自社製品がプラスに働く要素 |
脅威 | 市場や社会変化において、自社や自社製品がマイナスに働く要素 |
SWOT分析を行う際は、機会と強みが混同しないように注意しましょう。また、外部環境と内部環境においても、互いの要素が混ざらないよう正しく分類する必要があります。
3. VRIO分析
VRIO分析は、経済的価値・希少性・模倣可能性・組織の4要素で構成されるフレームワークです。経営資源の競争力を分析する手法で、経営戦略を練る際に相性が良いという特徴があります。
Value(価値) | 自社の経営資源が、経済的な価値を生み出せるか |
Rarity(希少性) | 自社の経営資源において、独自性がどれくらいあるか |
Imitability(模倣可能性) | 自社の経営資源が、模倣されないかどうか |
Organization(組織) | 自社の経営資源を活用できるよう、持続的に組織化されているか |
VRIO分析のメリットは、差別化できるポイントを見いだしやすいことです。商品やサービスの競争優位性だけでなく、ノウハウや人材など多角的に分析することで、経営の方向性を決定するのに役立つでしょう。
4. ロジックツリー
ロジックツリーとは、さまざまな問題を体系的にまとめて、原因や解決法を見つけ出すためのフレームワークです。大きな事象から小さな事象へと、枝分かれする形で要素を分解していきます。
ロジックツリーを使用するメリットは、問題の本質を深堀できることです。枝葉が細分化されるにつれて具体性が増し、課題を解決するためにやるべきことを明確にできます。
「具体的に何をすべきかわからない」というタイミングでロジックツリーを作成すると良いでしょう。
課題解決型の考え方を取り入れて顧客も気づいていないニーズを掘り当てよう!
課題解決型は、ユーザ自身も気づいていない本質的なニーズを掘り当てるのに有効なアプローチ方法です。
クライアントや一般ユーザーの本質的なニーズを発見することは、難しいことです。それでも、iRobotのルンバのように隠れたニーズを発見できれば、革新的な商品を生み出すことにつながるでしょう。
なおFlowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。UXデザインを自社サービスでも活かしたい方は、ぜひFlowzにご相談ください!