こんにちは!mizuki(@kikapyon)です。
フォーカスグループインタビュー(FGI)というインタビュー手法を聞いたことがありますか?FGIとは、参加者同士でディスカッションすることによってユーザーの素直な感想を聞くことができます。
FGIのメリットデメリット、適性判断の仕方、実際のインタビューの流れなどをご紹介します。これを読めばFGIついて一通りわかるような記事になっているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
フォーカスグループインタビュー(FGI)とは
FGIとは、一定のテーマについて専門的な知識や経験を持った人々に集まってもらい、グループディスカッションを通じて情報を収集するインタビュー手法です。この手法は、製品開発やマーケティング調査など、ビジネス上の様々な目的で利用されています。
FGIでは、対象となる人々が持つ意見や考え方、行動パターンを明らかにすることができます。そのため、マーケティング調査においては、商品やサービスのニーズや改善点を知るために、また、製品開発においては、新製品のアイデアやデザインについてのフィードバックを得るために利用されます。
次にFGIのメリット、デメリットを紹介します。
メリット
- 多くの参加者からの意見を聞くことができる
- グループ内での議論が活発化するため、新たなアイデアや発想が生まれることがある
- 参加者同士の交流が生まれるため、情報共有や意見交換がしやすい
デメリット
- 個人的な意見や価値観が反映されることがあるため、結果が偏る可能性がある
- 参加者同士のグループ内での発言バランスが偏ることがある
- 参加者の反応や発言によっては、インタビュアーの主導権が揺らぐことがある
適性を見極める
インタビューの中にも向き不向きがあるため、始める前にFGIが適しているかどうかを判断することをおすすめします。
向いている調査の具体的な例
- 新商品の開発や市場導入の前に、消費者の反応を知りたい場合
- 新しい広告キャンペーンの効果を評価するために、ターゲットとなる顧客層の反応を知りたい場合
- 商品の使用方法や設計に関する改善点を知りたい場合
- 患者や医療従事者の健康や医療に関する認識やニーズを知りたい場合
- 人々の意見や認識に影響を与えることが期待されるメディアプログラムの効果を知りたい場合
- 政策や法律、社会問題に関する意見や認識を知りたい場合
向いていない調査の具体的な例
- 数値的なデータを求める場合
- 少数派の意見を収集する場合(主に集団内の共通の意見を把握することが目的であるため、少数派の声を聞き出すのは難しい場合があります)
- 非常に個人的な話題に関する調査(集団内で共有される一般的な考え方や意見を収集するための手法であり、個人的な情報を公開するのは不適切です)
- 参加者が十分に準備ができていない場合(参加者に時間的、物理的、そして精神的な要求があるため、十分な準備が必要です)
- 他の研究方法よりも時間や費用がかかる場合(参加者数や時間の長さ、分析の手間などから他の研究方法よりもコストがかかることがあります)
このように、すべての研究に適しているわけではないため調査対象に応じて、適切な研究方法を選択する必要があります。
インタビューの手順
FGIの手順は以下の通りです。
①参加者を募集する
対象となる人々を募集します。参加者は、対象となるテーマについて一定の知識や経験を持っていることが理想です。
②グループに振り分ける
参加者を複数のグループに分けます。一般的に、グループは5〜10人程度が望ましいとされています。
③インタビュー開始
まずはインタビュアーが、対象となるテーマについての質問を投げかけます。その後参加者は、自由にディスカッションすることができます。インタビュアーは、グループ内での発言バランスを保ちつつ、グループ内での議論が活発化するよう、関連する質問や意見を振りかけたり、参加者同士の交流を促すことも重要です。
④グループ内ので意見共有する
グループ内での意見共有を行います。参加者が持っている意見や考え方、知識や経験を共有し、意見の相違点や共通点を探ります。また、グループ内での議論を通じて、新たなアイデアや発想が生まれることもあります。
⑤データを分析する
インタビュー後に、参加者の発言を録音したテープを文字起こしし、データを分析します。分析の手法は、テーマによって異なりますが、一般的には質的分析が行われます。分析の結果、どのような傾向や特徴があるかを把握し、調査結果をまとめます。
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より効果的な調査にするために意識すること
- 調査の目的と質問の策定
まずは調査の目的と質問の策定を行う必要があります。調査の目的に沿った具体的な質問を用意し、参加者に事前に共有することで、より的確な意見を引き出すことができます。 - 参加者の選定
FGIでは、参加者の選定が重要です。調査の対象となる参加者を明確にし、対象者について事前に調査を行うことで、参加者の属性や特性に合わせた質問や参加者同士のコミュニケーションの調整ができます。 - 設備と環境の整備
FGIでは、参加者同士のコミュニケーションが重要です。そのため、設備と環境を整えることが必要です。設備は、音声の録音機材、ホワイトボードやフリップチャートなどの視覚的なツール、参加者の座る椅子などです。環境としては落ち着いた雰囲気を作るための照明や温度管理、適切な空間の確保などが含まれます。 - 参加者の誘導と引き出し方
参加者の誘導と意見の引き出し方にも注意が必要です。参加者が自由に発言しやすい雰囲気を作り、グループ内での参加者同士の対話を促すことで、より多角的な意見を引き出すことができます。また、グループ内での発言のバランスを取るように配慮することも大切です。 - グループサイズの調整
FGIでのグループは、5〜10人程度が一般的ですが、目的に応じて調整することが必要です。参加者同士のコミュニケーションが活発になり、より多角的な意見を引き出すことができる一方、参加者の発言機会が限られることがあるため、調査の目的に合わせたグループサイズを設定してみましょう。 - モデレーターの役割
FGIでは、モデレーターが参加者の発言を引き出し、グループ内の調和を取る役割があります。モデレーターは、参加者の発言を聞きながらグループ内の会話を誘導し、タイムキーパーの役割も担います。モデレーターは、事前にシナリオを作成し、調査の進行に合わせて柔軟に対応することが必要です。 - 質問の種類とフロー
FGIでの質問は、オープン型と閉鎖型の質問があります。オープン型の質問は、参加者の意見や感想を引き出すために有効です。一方、閉鎖型の質問は、具体的な情報を得るために有効です。質問のフローは、オープン型から閉鎖型へと徐々に移行することで、参加者が自由に発言しやすい雰囲気を維持しつつ、より具体的な情報を得ることができます。 - プロセスの透明性
FGIのプロセスは、参加者に事前に説明することが必要です。プロセスの透明性を高めることで、参加者が安心して意見を発言しやすくなります。また、FGIの目的や結果についても、参加者にフィードバックすることで、参加者からの信頼を得ることができます。 - 記録方法の選定
FGIでの発言内容は、音声録音やテキスト記録など、適切な方法で記録する必要があります。音声録音は、発言内容を正確に記録することができますが文字起こしするのに時間がかかることがあります。テキスト記録は、分析に時間がかかることはありませんが、発言内容を正確に記録することができないことがあるため、適切な方法を選定することが必要です。 - 質的分析の実施
FGIで収集したデータは、質的分析を行うことで、分析結果を得ることができます。質的分析には、コンテンツ分析やグラウンド理論分析、テーマ分析などの手法があります。適切な分析手法を選定し、分析者のスキルに応じた分析を行うことが必要です。 - 結果の報告とフィードバック
FGIで得られた結果は、報告書やプレゼンテーションなどの形でフィードバックすることが必要です。報告書やプレゼンテーションは、参加者や利用者に対して、調査の目的や結果をわかりやすく伝えることができます。また、フィードバックにより、参加者や利用者からの意見を得ることができ、今後の調査の改善点や方向性を明確にすることができます。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
FGIは、多くの分野で有用な情報収集手法として利用されていますが、その一方で、偏りが生じる可能性や、参加者の発言バランスが偏るリスクがあることが指摘されています。そのため、効果的なファシリテーションや準備が欠かせません。
オンライン上でも実施できるため、場所や時間に縛られずに参加でき、効率的な調査が可能となっています。適切な条件下で実施することで、有用な情報収集手法として活用することができ、ユーザーの声を取り入れるのにおすすめの方法です。