服を選ぶ、その行為について

Jaeho Lee

Jaeho Lee

CEO

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「ジェホさんは毎日違う服を着てますか?」

ある知人から、365日新しい服を着れるほど服を持っているのではないか、服を一度着たらすぐに販売して新しく多量の服を購入しているのではないかと誤解されながら聞いた質問だ。

それほどたくさんの服を持つことは確かに楽しいことだが、残念ながら日本でそれほどの服を保管できる家に住むことは非常に難しいことである。

結果から言うと、半分合って半分は違うかと。

まず、一つ明確にしたいこととして、服が毎回変わること自体は事実であり、ある程度の服は持っていないといけないことだ。しかし、上記の誤解と異なり、毎回大量の服を購入するほど財力があるわけでもなく、一度着た服をすぐ捨てるほど薄情なものでもない。

私には昔からなおらない厄介なくせが一つある。それは物を保管するときに、常に新品のように保管するくせだ。

学生時代、経済活動ができないので収入がなく、親からもらったお小遣いを集めてほしい服を購入し、何回か着用後、古着屋さんに売って新しく服を買ったりしてた。おそらくその頃からくせになったのだろう。 物を大切にしたり、捨てられなかったりする性格とは違う、かなり面倒なくせである。毎日着た服は、洗濯が必要かどうか区別してすぐに洗濯したり保管したりするし、履いたスニーカーもきれいに拭いて購入した時の箱に入れて保管している。劣化による大きなダメージがない限り、いつでも新品のような状態でどんどん縮尺されていく。 このように数十年を生きると、たくさん服を購入しなくてもかなり多量の服が集まることになったのだ。
このように集まったコレクションをベースにしているおかげて、常に新品を着るように見えるのだろう。

さらに、私には毎朝服を選ぶにあたっていくつかの基準があり、その基準通りに着る影響もあるかもしれない。おそらく着回しする服が変わる頻度が多いだけで、多くのファッション誌にある「一週間で同じ服を着回しする」企画とほぼ似ているのではないかと思っている。

正直、いままでこの件について深く考えたことはなかったが、今回の誤解をきっかけに私はどんな基準で服を選ぶかについてまとめてみることにした。軽く考えをまとめた結果、私には4つの基準で分類したことがわかった。

1. 場面・用途

最初の基準となるのは、どのような場面で着る服かを考慮するということだ。 外部のクライアント会議に参加するときか、格式を取るべき場所か、楽に業務に集中したいか、働く場所はどこか、外部活動をするかなどを考慮する。各状況ごとに合うアイテムをカテゴリー化し、なるべくカテゴリー別にまとめて収納するように努力する。 毎回、ほしいアイテムがあちこちにあると忙しい朝に探すのはとても面倒だからだ。

ちゃんとした格好をするためのスーツから、ストリート系まで、カテゴリの範囲は意外と広い。 最近は自分の年齢と立場も考慮し、休日以外はあまり若く着ないようにしているため、ストリート系の服は少しずつ数量を減らしている。

2. 温度・天気

次には当然だけど、気温や天気だ。一つ当たり前のことを言うと、夏に冬の服を取り出す必要はないので季節が切り替わるタイミングであれは衣替えが終わったのを前提とする。

気温や天気を基準にするときに私が気にしているのは素材と機能性だ。普段より暑い時や寒い時、雨が降ったりする時などにはそれに合った機能や素材を選んでいる。もし長時間外にいる状況であれば歩きやすさを、暑さ(あるいは寒さ)に長時間耐えられる素材などを優先的に考慮している。

雨が降る時は降水量がどれくらいかによって防水性・撥水性に優れた素材などを選ぶこともある。 風が強い日であれば外部からの風を防いでくれる素材を、普段より寒い場合は保温効果が充実している機能を、暑い日には風通しや速乾燥性がある素材などを意識しながら服を選んでいる。

3. その日着たいアイテム

場面や天気を考慮した上で、今度はその日に一番着用したいアイテムを選ぶこと。このステップが一番楽しいかつ難しい瞬間だ。

ここで考慮する重要なポイントは、アイテムのコンディション。できるだけ長い時間保管されているアイテムを優先的に選択するようにしている。私だけの勘違いかもしれないが、ものは使わないと枯れていく。たまに取り出さないと心から遠ざかる。心から遠ざかると出会う頻度は減り、ますますその子は活気を失っていく。結局ただ空間を占めている状態になってしまい、有限な空間にいる私にとって、それは悲しい贅沢であり、存在意義を失った無駄になる。

私は薄情なものにはなれない人間で、心から離れないようにでできる限り取り出してみる。結局その日一緒に出かけられないかもしれないが、着てみて、これまで忘れていた懐かしい感覚を思い出したりする。流行は回ると言うけど、心から遠ざかるとどうしようもなくなるからだ。

4. 調和

ここまで慎重に決めてきたアイテムなら、できればおしゃれに着たくなる。インナーにはどんな色を着ると似合うか、パンツはどんな素材のものを着るかなど、どうすれば選択されたアイテムを引き立たせるか考えながら周りの服を選ぶ。

例えば、選んだアイテムが茶色と黒の入ったダウンだとしよう。

まず他のアイテムの色はできるだけ黒や茶色系から大幅ずれない色を選び、素材はあまり重ならないようにしている。そうすることで同じ色でも異なったアイテムに見えるし、セット感が出ないようなる。

あまりにも暗い色ばっかりになると重く見えるので、明るい色をポイントで合わせる。場面によって無印の服だけにするか、プリントが入っているTシャツを活用して色を合わせたりもしている。発想を変えて、選んだアイテムがポイント色になるように他のアイテムの色を明るいものにしたりもしている。

最後に、服に似合う色のアクセサリーと時計をつけ、それに合うスニーカーを選んで仕上げる。

これが私が毎朝、服を選んでいる基本ルーチンである。冗長に説明したが、実際すべての決定までにかかる時間は合わせておよそ15分以内。迷ったりしても20分以内には決まる。スティーブ・ジョブズは人間が一日に使う脳の総量が決まっていると信じ、いろんな判断をしたり、生産的なことに集中するとき脳を使うために毎日同じ服を着たという。そして、それで稼いだ時間を読書など自分のために使った。

人生で些細な幸せのためにどこに価値を置くかはみんな一緒ではないでしょう。ある人は本を読むことやおいしい食べ物を食べることで、ある人は趣味活動や人に会うことなどで人生を充実している。

私は感情表現が苦手だ。会話をスムーズに続ていく能力も、誰でも持てるいい感じの趣味もない。ただ、大げさでいうと私の感情をこの世に表出する、唯一の方法ではないが一つの方法として、服を着る行為は些細な幸せにしてくれる、そんな存在である。

Fin

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