「ビジネスモデルキャンバスってそもそも何?」
「ビジネスモデルキャンバスを使って企業を分析した事例はないのかな?」
このような疑問をお持ちの方必見です。
ビジネスモデルモデルキャンバスとは、事業がどのように成り立っているのかを9つのセグメントに細分化して分析するフレームワーク。この分析手法は「なぜあの企業が上手くいっているのか」「これから立ち上げる新事業は成功する見込みがあるのか」などを見極める手がかりになります。
そこで本記事ではデザイン・エンジニアリング両面からサービスの設計・開発を行っているFlowzが以下の内容について詳しく解説します。
- ビジネスモデルキャンバスとは
- ビジネスモデルキャンバスの事例5選
- ビジネスモデルキャンバスの書き方を要素別に解説
ビジネスモデルキャンバスの基本的な考え方について、有名企業を分析した事例を交えて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
なおFlowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。お困りごとがある方はぜひお気軽にご相談ください!
目次
ビジネスモデルキャンバスとは
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの構造を視覚的に分かりやすく整理するフレームワークのこと。商品やサービスがどのような価値を顧客に提案し、収益を得るのかを見極めるのに役立ちます。
他にもビジネスモデルキャンバスは、競合他社の分析にも使われたり新規事業を生み出したりする際にも使われるケースも。
具体的には、以下の9つのセグメントに分けて会社を取り巻く環境や商品・サービスを分析します。
顧客セグメント | 顧客との関係性 | 主要な活動 |
価値提案 | 収益の流れ | 主要なパートナーシップ |
チャネル | キーリソース | コスト構造 |
それぞれのセグメントの詳細については、記事後半で詳しく解説します。
このように事業内容を細分化することで、経営者がフォーカスすべきことは何かを明確にできるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスの事例5選
では実際にビジネスモデルキャンバスを用いて、有名企業を分析していきましょう。今回ピックアップしたのは、この5社です。
- Amazon
- Uber
- KFC
- スターバックス
ひとつずつ見ていきましょう。
Amazon
Amazonは、価値提案のセグメントが特徴的と言えます。世界的なECモールとして、圧倒的な品ぞろえと迅速な配達がAmazonが顧客に与えている最大の価値であり強みと言えるでしょう。
またサブスクリプションのAmazon Primeには、配送料が無料になる特典や動画配信サービスが付いています。このようにAmazonは、EC事業のみならずVOD産業も手がけているのが、Amazonの特徴と言えます。
Amazonは、ネット通販とサブスクリプション型の動画配信サービスを組み合わせることで、幅広い客層を獲得することに成功しています。
Uber
Uberは、ドライバーと顧客の橋渡しをすることをメインの事業として業績を伸ばしている会社です。顧客セグメントは、運転手と乗客という2つの要素で成立している事業形態と言えるでしょう。
働きたい運転手と近距離を移動したい乗客のニーズをつなげることで、収益をあげることに成功した事例です。
KFC
KFCは、フライドチキンレストランとしては世界的な地位を誇る企業。この企業の最大の特徴は、フランチャイズビジネスを軸として大成功を収めていることです。
KFCのビジネスモデルキャンバスで特徴的なのは、顧客セグメントが一般客ではなく店舗オーナーであること。経営ノウハウをレストラン経営者に提供する代わりに、フライドチキン販売のロイヤリティを受け取るというかたちで収益をあげています。
KFCはフライドチキンを販売するのではなくロイヤリティを販売するという戦略を取ることで、世界中に店舗を展開することに成功した典型的な事例と言えるでしょう。
Googleは、広告収入によって収益を得ているのが最大の特徴です。一般的なネットユーザーは、Googleが提供する検索エンジンを無料で利用できます。
すると世界中のユーザーがGoogleの検索エンジンを使うようになり、利用者数を爆発的に伸ばしました。その結果、世界中の人が使うインターネットプラットフォームにまで成長。Googleは世界中の人に使われるようになったため、検索結果に広告を掲載し広告主から料金を受け取るというビジネスモデルが成立しました。
このように、一般ユーザーから売上を立てるのでなく広告主を収益ポイントにすることで、Googleは世界的な企業にまで上り詰めたのです。
スターバックス
スターバックスの価値提案は、居場所の提供です。ドリンクの質もさることながら、限られた席数でゆったり過ごすための時間と場所を顧客に提供しています。
また日本においては基本的にフランチャイズ経営せず、全店舗直営で運営しているのも特徴。(一部ライセンス契約店舗有)
その理由はフランチャイズ経営をすると店舗の状態を管理しにくくなり、お客様が快適に過ごせる居場所を提供するという軸から逸れるリスクがあるからです。
このようにビジネスモデルキャンバスを使って要素を分解していくと、経営戦略が見えてくるでしょう。
ビジネスモデルキャンバスの書き方を要素別に解説!
次に、ビジネスモデルキャンバスを要素別に解説します。
- 顧客セグメント
- 価値提案
- チャネル
- 顧客との関係性
- 収益の流れ
- キーリソース
- 主要な活動
- 主要なパートナーシップ(キーパートナー)
- コスト構造
それぞれのセグメントで意識すべきポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
顧客セグメント
顧客セグメントは、企業が提供する製品やサービスを利用する人々を表します。分析対象の企業が提供しているサービスによって、年齢や性別、職業やライフスタイルなどの情報を整理できるでしょう。
例えばスターバックスであれば、20~30代の若年層がメイン。Uberであれば、運転手経験がある20~50代までの男性が多くなる傾向があります。
なお顧客セグメントに設定する顧客は、企業が提供する価値を認めて、対価を支払う意思があると仮定しましょう。つまり消費品やサービスを利用する意思のない顧客は、顧客セグメントには入りません。
価値提案
価値提案は、企業が顧客に対して提案する価値を具体的に定義するためのセグメントです。「顧客の問題を解決できるか」または「ニーズをどのように満たしていくのか」などを明確にする必要があります。
特に自社のビジネスモデルキャンバスを作成する際は、他社と一線を画す独自の価値を明記しておきましょう。
例えば、利便性やデザイン、品質や価格帯などは他社と差別化できるポイントと言えます。価値提案の欄はできる限り簡潔に短い文で書くことが大切です。
チャネル
チャネルのセグメントには、見込み客に商品やサービスを届けるためのルートや方法を書きます。実店舗販売でお客様に商品を届けるのか、あるいはオンラインで商品を配送するのかになどの要素があげられるでしょう。
例えばスターバックスであれば、実店舗販売がほとんどです。一方GoogleやAmazonは、オンラインでの価値提供が大多数を占めます。
なお、次に紹介する「顧客との関係性」と混同されやすい傾向がありますが、チャネルにはお客様と物理的に接触する場所を具体的に書くようにしましょう。
顧客との関係性
顧客との関係性には、商品を購入してくれるお客様とどのように関係を築くのかを書きます。商品を販売したら一旦関係が切れるのか、それともアフターサービスを手厚くしてリピーター獲得を狙うのかなど。価値を提供したあとの顧客との付き合い方を明らかにしましょう。
顧客との関係を構築する方法としては、以下の3つがあげられます。
方法 | 概要 | 具体例 |
---|---|---|
パーソナルアシスタント | 顧客と対面でやり取りしたりメールで情報を発信したりする | アパレルブランド |
セルフサービス | 顧客自身で問題を解決できるような仕組みを作る | コンビニのセルフレジ |
コミュニティ | コミュニティを立ち上げて、定期的に相談にのったり課題解決のヒントを提案したりする | オンラインコーチングサービス |
どのような価値を提供するかによって、顧客との関係性の築き方は変わる点を押さえておきましょう。
収益の流れ
収益の流れは、企業がどのように収益を得ているのかを具体的に書くセグメントです。どのような収益ポイントがあるかを箇条書きにすると分かりやすくなるでしょう。
販売 | 製品やサービスを販売して収益を得る |
---|---|
レンタル | 商品を貸し出すことで収益を得る |
サブスクリプション | 継続的なサービスやツールを提供することで利益を得る |
広告 | 広告を出して成約したら広告主から収益を受けとる |
収益の流れを書くと、企業がどのようなサービスで利益を得ているのか、また収入源がいくつあるのかなどを明確にできます。
キーリソース
キーリソースには、顧客に製品やサービスを提供する際に必要なリソースを書き出しましょう。経営するための資源がないと顧客に価値を提供できません。リソースには、例えば以下のような要素があります。
人的資源 | 従業員・外注 など |
---|---|
財務 | 現金・助成金・ローン など |
有形資産 | 不動産・在庫・施設 など |
無形資産 | 専門的な技術・ノウハウ・知的財産権 |
なおリソースに書き出す要素は、現金や従業員などの目に見えるものだけでなく、技術やノウハウなど目に見えないものも含まれる点も覚えておきましょう。
主要な活動
主要な活動には、顧客に価値を提供するためにやるべきことを書き出します。以下3つのポイントを意識すると良いでしょう。
生産 | 生産量の増加・効率化の計画 |
---|---|
問題解決 | 製品やサービスを利用することで発生する問題を解決するためのスキーム |
プラットフォーム構築 | 新事業が生まれる仕組み |
主要な事業を明確にすることは、今後の計画や戦略を定めるために必要不可欠です。
主要なパートナーシップ(キーパートナー)
主要なパートナー事業活動に関わっているサプライヤーを指します。顧客に商品やサービスが届くまでには、さまざまな流通プロセスを経由していることがほとんどです。
例えばamazonの場合、商品を製造する業者や販売する業者はもちろん、商品を運ぶ業者やサイトを保守管理する技術者など。このように細かく分解すると、さまざまな業種のパートナーが関与していることが分かるでしょう。
主要なパートナーは、顧客に価値を提案するために必要な製品や知識、ノウハウを提供してくれる事業者を明記するためのセグメントです。
コスト構造
コスト構造には、事業活動で発生するコストを書き出します。事業をするうえでコストの発生は避けられません。
具体的には以下のような要素をコスト構造のセグメントに明記しましょう。
運用のコスト | 販売・マーケティング・製造 など |
---|---|
リソースのコスト | 人件費・設備維持費 など |
パートナーシップのコスト | 外注費・コンサルタント料 など |
利益を高めるには売上をあげるのに加え、コストを削減しなくてはいけません。そのためには、どのようなコストが発生しているのかを明確にする必要があるのです。
ビジネスモデルキャンバスを使って集中することを明確にしよう!
以上、ビジネスモデルキャンバスを作成することで、事業やサービスがどのように成り立っているのかを詳細に分析できます。新しい製品やサービスを開発するタイミングや、競合他社の状況を分析したいときに、ビジネスモデルキャンバスのフレームワークは大いに活用できるでしょう。
なおFlowzではデジタル領域でのサービス設計、プロダクト開発の視点からお客様のビジネスをサポートしています。UXデザインを自社サービスでも活かしたい方は、ぜひFlowzにご相談ください!