こんにちは!mizuki(@kikapyon)です。
ページを見てもらえているはずなのに、なかなかユーザーが購入などのゴールまで至らないのは、インタラクションコスト(相互作用コスト)がかかりすぎているのが要因かもしれません。購入などのゴールまでのインタラクションコストが多いと、高いモチベーションがない限り、ユーザーは離れてしまいます。
そこで、インタラクションコストとはどういうものなのかというところから、3つの法則を元に改善方法を含めてご紹介します。また、改善していく上での注意点などについても解説します。ぜひご覧ください。
目次
インタラクションコスト(相互作用コスト)とは?
インタラクションコストとは、ユーザーが目標を達成するためにサイトとやり取りする際に必要な、精神的および肉体的な労力の合計です。
多くの初心者デザイナーは「インタラクションコスト=ユーザーがタスクを完了するのに必要なクリック数」という間違った認識をしてしまうことがあります(かくいう私もそうでした)。
しかし、インタラクションコストはクリック数だけではありません。例えば以下のような行動もコストに含まれます
- 読む
- スクロールする
- 関連情報を見つけるために周りを見回す
- 提示された情報を理解する
- 間違えないようにクリックまたはタッチする
- タイピング入力する
- ページを読み込む
- 待つ
- 注意を向ける対象を切り替える(ポップアップ表示など)
- 次の情報に備えて今の情報を記憶しておく
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インタラクションコストは、精神的相互作用コスト(MIC)と物理的相互作用コスト(PIC)に分類することができます。
精神的相互作用コスト(MIC)
精神的相互作用コストは、製品を操作するために必要な精神的リソースの量を指します。タスクを完了するために過度な注意や記憶が必要な場合、精神的相互作用のコストが多いということです。精神的相互作用のコストは、アイトラッキングを使用して、ユーザーが視覚的な注意をどこに集中させ、何に関心を持ち、何を無視するかを確認することで評価できます。
精神的相互作用コストの例には、複雑なナビゲーション、重いコンテンツ、なじみのないデザインが含まれます。また、ポップアップバナー、注意を引くビジュアル、ユーザーの現在のタスクとは関係のない動きなども、注意をそらしたりする一般的な要素です。
注意がそれてしまうと、ユーザーはタスクを完了するために過度な注意が必要になってくるので、精神的相互作用コストが高くなってしまいます。ユーザーは気が散りやすいものと考え、他の場所に注意を向けないようなデザインになっていることを今一度確認してみてください。
また、ミラーの法則によると、平均的な人は一度に5〜11個のアイテムしか短期記憶として保持することができません。製品内でタスクを完了するために必要な記憶容量は、精神的相互作用コストの負荷に比例します。例えば、電話番号はXXXXXXXXXXXではなくXXX-XXXX-XXXXとして記憶されますよね。11桁の番号よりも、3つに分けて3桁+4桁+4桁と覚える方がより簡単です。
注意と記憶に関連して考慮すべきもう1つの要因は、ヒックの法則です。
この法則によると、決定するのにかかる時間は、選択肢の数と複雑さと共に増加するということです。過剰な選択肢でユーザーを困惑させずに、できる限りユーザーにとって最適な選択肢を強調すると分かりやすいでしょう。
物理的相互作用コスト(PIC)
物理的相互作用コストとは、ユーザーがタスクを完了するために費やす物理的な労力を指します。関連する概念の1つに、ポインター(マウスカーソルなど)をターゲット領域に移動するのに必要な時間は、ターゲットまでの距離をターゲットのサイズで割った関数であるという「フィッツの法則」があります。
距離が長く、ターゲットのサイズが小さいほど、時間がかかります。
一般的な物理的相互作用コストの要因には、到達距離とターゲット幅、タスクを完了するために必要なユーザー入力とアクションの数などがあります。
インタラクションコストの改善に関する必要性
インタラクションコストは、ユーザビリティに直接関連しています。ユーザーが目標を達成するためにサイトとのやり取りに費やさなければならない労力が多ければ多いほど、使いにくさを感じてしまいます。
理想的には、ユーザーがサイトにアクセスした時点で求めている答えが目の前にあることが望ましいです。これが、インタラクションコストが0ということです。しかし、ほとんどのサイトやアプリはユーザーがやりたいと“思うかもしれない”ことを多く提供するため、インタラクションコストを0にすることはほとんど不可能です。
そのため、多くの場合、ユーザーはまず周りを見回し、読み、場合によってはスクロールし、それらしいリンクを見つけてクリックし、ページが読み込まれるのを待ってから、再度このプロセスを繰り返すことになります。
デザインによっては、新しいウィンドウが既存のウィンドウの上にポップアップ表示されることがあります。その場合、ユーザーは新しいウィンドウに意識を切り替え、古いウィンドウに戻って両方の情報を頭の中で合致させる必要があります。
さらに、別の状況では、ユーザーは1つのページの情報を記憶し、別のページにその情報を持っていき、認知しなければいけない場合があります。
これらのアクションには認知的努力が必要であり、インタラクションコストが多いということです。このインタラクションコストを減らすことがユーザーの使いやすさに直結するため、意識してデザインすることをおすすめします。
インタラクションコストの改善方法
では、一体どのようにインタラクションコストを改善したらいいのでしょうか。ここでは、改善するための評価方法と具体的な改善方法について説明します。
評価
インタラクションコストを評価するために、以下をチェックしてみてください。どのステップ、どのアクションがインタラクションコストに影響をしているかを正しく把握することで、正しい改善に繋がります。
- タスクの総数:プロセスを合理化し、ステップを削除する必要があるか
- タスクの頻度:特定のタスクがどれくらいの頻度で実行されているか、これらのタスクは繰り返し行われているか
- タスクの認知的複雑さ:注意と記憶の負担が多すぎないか
- タスクの要件:要件がユーザーのパフォーマンスや快適性に影響を与える可能性があるか、障害のあるユーザーにどのような影響を与えるか(アクセシビリティ)
各タスクを完了するのにかかる時間:プロセスのどのステップに最も時間がかかり、タスクを完了するために余計な時間を要しているか
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改善
①作業記憶負担をより削減する
先ほどご紹介したように、平均的な人は一度に5〜11個のアイテムしか短期記憶として保持することができません。そのためできるだけ記憶しておくことを必要としないUIを作る必要があります。
作業記憶をより効率的に使用するために、情報を意味のある一口サイズの単位に編成する方法をチャンキングと言います。チャンキングに使用される主な方法は次のとおりです。
- 短い段落を使用する
- 短いテキスト行にする
- 関連項目をグループ化して視覚的に明確にする
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上記のように、情報を短く、明確に分けることでユーザーにとって易しいデザインにすることができます。
②読みやすく理解しやすくする
ユーザーは、Web上の文章を一語一句読むことはありません。代わりに、目標を達成するのに役立つ関連情報をすばやく認識したがっています。そのニーズに応えると、具体的に要点を明確にすることができます。理解しやすい良いコンテンツは以下をよく使っています。
- 短い文章にする
- 小見出しを使う
- 簡単な語彙を使う
小見出しを使うことで、ページ全体を見た時にもどんな内容のトピックなのかが一目瞭然です。タスクの関連情報である小見出しの部分をより早く的確に認識することができ、ユーザーは快適さを感じます。
③認知アシストをする
例えば、アイコンだけでなくラベルやメニュー項目を表示するか、ホバーした時に詳細を出すなど簡単に取得できるようにするとすぐに認知することができます。また、ユーザーにチュートリアルドキュメントを読ませるのではなく、状況に応じた段階的なチュートリアルを提供することも効果的です。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
- ホームページから製品ページへのクリック数は何回必要か
- ナビゲーションメニューにはいくつリンクがあるか
- ユーザーはページのダウンロードを何秒待ってから離脱するか
このような決まった数値を求めがちですが、上記の質問に常に対応できる数字はありません。
解決すべき問題は、クリック数やリンク数ではなく、ユーザーが正しいものをどれだけ簡単に選択できるかです。例えば、5回の簡単なクリックは3回の難しいクリックよりもはるかに優れていますし、10個の簡単に理解できる項目を含むメニューは7つのあいまいな項目を含むメニューよりも優れています。
インタラクションコストはデザイナーに不可欠な知識です。ユーザーの快適さに直結するものなので、ぜひ意識してデザインしてみてください。
参考文献
Nielsen Norman Group 「Interaction Cost」
Nielsen Norman Group 「Interaction Elasticit」
free code camp「Interaction Design – How to Evaluate Interaction Costs and Improve User Experience」
Improving user experience by reducing interaction cost「https://uxplanet.org/improving-user-experience-by-reducing-interaction-cost-fa4089471c9c 」
Interaction Cost 「https://www.lightningsites.com/glossary/interaction-cost/ 」